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能動的サイバー防御(ACD)の仕組み

 重要インフラなどへのサイバー攻撃を未然に防ぐ「能動的サイバー防御(ACD)」を導入する法案が19日、衆院内閣委員会で実質的な審議に入った。在日米軍を自衛隊が警護するとした規定をめぐり、防衛省の担当者が「我が国の防衛力を構成する重要な物的手段に相当する」との見解を示した。

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 法案には、ネット上の通信情報を政府が収集することを可能にする新法のほか、自衛隊法改正案も含まれる。改正案では、米軍の艦船などを自衛隊が守るために武器の使用を認める規定をサイバー空間にも当てはめ、在日米軍が使うコンピューターを守るために、攻撃元のサーバーに侵入し無害化できる権限を自衛官に与える。

 この日の審議では、公明党の山崎正恭氏が「在日米軍を守る根拠は何か」と質問。防衛省の家護谷(けごや)昌徳サイバーセキュリティ・情報化審議官は「米軍が使用する特定電子計算機(コンピューター)の使用が阻害された場合には、米軍の運用が妨げられ、ひいては日米の共同運用能力の低下につながり、我が国の防衛に支障が生じる」と説明。「我が国の防衛力を構成する重要な物的手段に相当すると評価し、警護の対象にする」と述べた。

 この規定を巡っては、18日の衆院本会議で共産党の塩川鉄也氏が、サイバー攻撃かどうかを米軍側が判断する可能性を指摘した上で、自衛隊による無害化措置について「実質的に米軍指揮下で自衛隊がサイバー攻撃を行うのではないか」とただした。これに対し石破茂首相は「自衛隊による警護の実施は、国際情勢や米軍の状況などを踏まえ、防衛大臣が判断する。無害化措置も防衛大臣の指揮を受けるため、日本が米軍の指揮下に入るといった指摘は当たらない」と答弁した。

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